...ふと見ると、むこうに大きなテントがはってあって、音楽の音が、にぎやかに聞こえてきました...
江戸川乱歩 「サーカスの怪人」
...ふと見ると、途ばたのしだれ柳の下に雨蛙が一匹いて、枝に飛びつこうとしています...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...ふと見ると其処(そこ)の畠(はたけ)に人妻らしい人が茄子をもいでおる...
高浜虚子 「俳句への道」
...もう子供では無かったのだから、十年経(た)っても、その時の記憶はいまでもはっきりしていて、間違いは無い筈(はず)だが、私がお供えの花を剪(き)りに、お庭のお池のほうに歩いて行って、池の岸のつつじのところに立ちどまって、ふと見ると、そのつつじの枝先に、小さい蛇がまきついていた...
太宰治 「斜陽」
...ふと見ると道傍(みちばた)へ板の台を構えて一人の媼(ばあ)さんが茶の接待をしていた...
田中貢太郎 「水莽草」
...ふと見ると窓の障子へ怪しい物の影が映っていた...
田中貢太郎 「狸と俳人」
...しかし、まあ、それはわたしが酔っていたせいかも判らないのですが、それでもわたしは、あまり外がはっきり見えるのが鬼魅(きみ)がわるいから、見るのをよして、また窓際に頬杖(ほおづえ)をしていたのですが、なんだか己(じぶん)の顔を見ている者があるような気がするので、ふと見ると、わたしの側に婆さんらしいのが、すこし離れて乗ってるじゃありませんか...
田中貢太郎 「雪の夜の怪」
...ふと見ると羊を伴(つ)れた若い女が路ぶちに立っていた...
田中貢太郎 「柳毅伝」
...そしてふと見ると...
豊島与志雄 「蘇生」
...ふと見ると松林の外から一人の女が荷車を曳いて來た...
長塚節 「白甜瓜」
...ふと見ると...
根岸正吉 「落ちぬ血痕」
...又これは別の話ぢやが、先祖から伝はつた酒杯(さかづき)を相手に、時をり管を巻くことの好きな寺名主が、ある時チビリチビリやりだして、まだ二杯とは傾けんのに、ふと見ると、その酒杯がこちらを向いてこつくりこつくりお辞儀をしてゐる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...ふと見ると、それはいつもあの方が朝ごとにお飲みなすっていた御薬が檀紙(たとうがみ)の中に挿まれたままになって出て来たのだった...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...ふと見ると、その窓側の露台(バルコニー)に、古びた長椅子の上に、真鍮のボタンの付いてゐる上衣を着た一人の老人が腰掛けてゐました...
牧野信一 「首相の思出」
...」ふと見ると、上流から下って来た大きな筏(いかだ)が、その上に土を載(の)せ、野菜の畑を仕立てて流れていた...
横光利一 「上海」
...新九郎がふと見ると...
吉川英治 「剣難女難」
...いつもそこは、野鴨(のがも)の丸揚げや餅など売っている場所なので、その混雑かと思うていたが、ふと見ると、大勢の頭の上に、高々と、立札が見えている...
吉川英治 「三国志」
...ふと見ると御名号は彼の手に奪(と)られずに...
吉川英治 「親鸞」
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