...二人はたちまち取組(とっく)み合いを始めた...
芥川龍之介 「百合」
...麦はとっくにかり取られていました...
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen 大久保ゆう訳 「おやゆび姫」
...もう昼はとっくに廻って居るらしかった...
梅崎春生 「風宴」
...あの人はまだここにいる筈です」「とっくに逃げてしまいました...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...とっくみあいがはじまるのではないかと...
江戸川乱歩 「青銅の魔人」
...とっくに宝ものを見つけていたのです...
江戸川乱歩 「大金塊」
...もうとっくに午後の二時を回っていた...
大阪圭吉 「花束の虫」
...とっくの昔に読まれてしまったので...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「小波瀾」
...「あなたは、どちらからおいでになりましたの」「関の大谷風呂に暫く逗留しておりました」「お国はドチラですの」「東国の方ですがね、諸所方々をフラつきましたよ」「お目がお悪い御様子ですが」「はい、目がつぶれてしまいましてね、つまり天罰というやつなんですよ」「どうして、そういう目におあいになりましたの」「十津川の騒動の時にやられました」「ああ、あの天誅組(てんちゅうぐみ)の騒動に、あなたもお出になりましたか」「はい、十津川では天誅組の方へ加わりました、中山卿だの、それから松本奎堂(まつもとけいどう)、藤本鉄石なんていう方へ加わりました」「まあ、それは頼もしい、天朝方でございますね」「なあに、頼もしく入ったんじゃありませんよ、頼まれたもんですからツイね、つまり、人生意気に感ずというわけなんでしょう」「その前は、どちらに」「その前は壬生(みぶ)におりました」「まあ、壬生浪(みぶろう)……」「恐れるには当りませんよ、これもふとした縁でしてね、好んで新撰組に加わったわけじゃありません」「では、あなたはずいぶん、お手が利(き)いていらっしゃるのね」「剣術が少し出来るんでね、まあ、それで身を持崩したようなものです」「よくまあ、でも、その御不自由なお身体(からだ)でねえ」「こんな不自由な身で生きているというのが不思議なんです、いいや、不思議なんて、そんな洒落(しゃれ)たことではないです、恥さらしなんです、業さらしなんです、まあ普通の良心を持っている奴なら、とっくに、どうかしてるんですがね、こんな奴は、天がなかなか殺さないんです、つまり、なぶり殺しなんですね、あっさりと殺してしまうには、あんまり罪が深い」「そんなことはありませんよ、自暴(やけ)におなりになってはいけません、あなたなんぞは、お若いに、これからが花ですよ」「ふーん、これから花が咲くかなあ」「咲かなくって、あなた、どうするもんですか、わたしなんぞごらんなさい、ことし、幾つだと思召(おぼしめ)す」「左様、女の年というものは、若く言って叱られる、老(ふ)けて言うと恨まれる、当らんものだなア」「当ててごらんなさいよ、あなたはお目が見えないから、皺(しわ)がわからないので、それで有難いのよ」「ふん、当ててみましょうか」「当ててごらんなさいましよ、御遠慮なく、お世辞でなく、正直な判断を聞かせて頂戴」「ふーん、鬼頭天王のおばさんと、ほぼ同格かな、あれより少し若いかな」「鬼頭天王のおばさんというのは、どなた?」「うん、いや――拙者の伯母(おば)なんだが」「その伯母さん、お幾つ?」「そうさなあ、四十……」「それで、わたしは?」「それより、若いかなあ」「有難う」「何でお礼を言います」「有難う」「年を言って、お礼を言われるはずはないのだが」「言ってみましょうか、わたしの本当の年を」「おっしゃってみて下さい」「酉(とり)の五十三――七月生れよ」「ははあ、五十三」「いいお婆さんでしょう、四十幾つかに見られて嬉しい、ついでに、わたしの人柄を言ってごらん下さい」「人柄とは?」「どんな衣裳をつけて、そうして、何を商売にしていますか、それを当ててみてごらんなさい」「拙者は卜(うらない)を稽古して置かなかった...
中里介山 「大菩薩峠」
...とっくに承知している...
中島敦 「弟子」
...あたかも自分がとっくの昔から知ってでもいたかのような調子で...
中島敦 「虎狩」
...ほんとうはとっくに決定されてしまっている事柄について依然として熱心に論議している...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...とっくに見抜いていたでしょうし...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「変身」
...それがとっくの昔にどうして少年少女達のための絵本にならなかったか...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...とっくに敷地は他人の手に渡った...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...「もうとっくに如何うか仕て居ますよ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...あんなことっくれえ蠅(はえ)の頭みてえなもんだ」「先生は知るめえがね」と増さんは続けて云った...
山本周五郎 「青べか物語」
...そんなことを考え得る人民ではない証拠がとっくの昔挙がっている...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
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