...午前の講義を聞いていると、たった今、朝食のときに吾々の話していた問題がもう講義の種子になっているのを発見することがしばしばあった...
寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
...わたしはたった今...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...そして「云わねえったら、口を割らねえのが、仲間の作法だ――」「そうだ」と、南玉が「お嬢さんの心は、判ってらあ」「師匠――俺、たった今まで、自棄を起して、死ぬつもりだったが、一寸――ほんの、ちょっぴり、思案をかえらあ」「そうかい」「何う変えるか、代は、見てのお戻りってんだが、休公の、鼻を齧るのだけは、変えねえ――じゃ、いよいよ、これが、ぎりぎりけっちゃくの、さよなら、だ...
直木三十五 「南国太平記」
...たった今の陰惨な人生の終焉地(しゅうえんち)から...
中里介山 「大菩薩峠」
...まして、たった今、覚王院や竜王院で、お取計らいを食って出て来たその余勢ですから、神尾もここで、故旧になぐさめられるような温かな味、近来受けたことのないものを受けました...
中里介山 「大菩薩峠」
...俺はたった今、東を掴んだばかりだと云う事を主張して、結局清三に一人払いさせたのであったが、此の俺の主張を、清三は全然信じなかったらしい...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...たった今、玉石が抜けて、下にいた仲間を放水路ん中に叩っこんじまったんです...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...まるで、そこには、たった今まで、何事もなかったような、寂しい静けさがあった...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...それはたった今生じたことを容易に信じかねるような...
原民喜 「忘れがたみ」
...たった今そうおっしゃったでしょう...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...舎弟直義(ただよし)どのから草心尼までが、あの覚一をも連れて、はや足利ノ庄を立ったと、たった今、早馬があった」「え...
吉川英治 「私本太平記」
...機げんも直りきッていない顔つきで「いつ来たの? おまえ」「たった今しがたでございまする...
吉川英治 「私本太平記」
...たった今、元親に降参せいと、申したではないか...
吉川英治 「新書太閤記」
...大野九郎兵衛に会おう!』たった今...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...たった今、丘に立って、八百年前を回顧していたぼくの幻想は、一足跳びに、現実の世界に舞い戻され、義経も範頼も、能登守教経も、敦盛(あつもり)も熊谷も、みなパチンコ機械の中をグルグル巡りまわる一個一個の玉みたいに、もんどりを打ち、転げまわり、そして何かひとりでおかしくなって来てたまらなかった...
吉川英治 「随筆 新平家」
...ここから一里ほどもない駿河湾の静浦、江の浦のあたりまでも、もう一面な低い雲に蔽(おお)われて、たった今まで、陽のあたっていた海面(うなも)が、一尺の水面も見えなくなっていた...
吉川英治 「源頼朝」
...ところが、きょうの夕方は、花屋の軒をのぞいても、老爺(おやじ)が見えないので、自身で裏の樹へ繋(つな)いでいると、「おう、旦那様で」老爺は、寺の裏山から駈けて来て、いつものように、彼の手から馬を受取りながら、「――たった今、墓地の垣を破って、道もない崖へ上って行くおかしなお武家があるので、そこは抜け道ではござらぬ、と教えてやると、怖い顔して、こちらを振向いたまま何処ともなく行ってしまいましたが……」と、問わず語りをして、「あんなのが、近頃やたらに大名屋敷へ忍び込むといううわさの盗賊ではございますまいかの」と、まだ気に懸けて、黒々と暮れた青葉の奥を見上げていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――そう腹の膨(ふく)れるように思ったが、たった今、救われた恩義のてまえ、「はい...
吉川英治 「宮本武蔵」
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