...いつもは力んでいるくせにヘマばかりやる同年者の感じだったが、その時だけは、異質の場所にいる二見という人間をおれは感じたんだ...
梅崎春生 「赤い駱駝」
...その時だけだからね...
梅崎春生 「幻化」
...その時だけのことを考えると...
丘浅次郎 「教育と迷信」
...たったいちど、夫のところへお客様がおいでになっていた時、いまのマサ子が三つくらいの頃でしたかしら、お客様のところへ這(は)って行き、お客様のお茶をこぼしたとやらで、私を呼んだらしいのに、私はお勝手でばたばた七輪(しちりん)を煽(あお)いでいたので聞えず、返事をしなかったら、夫は、その時だけは、ものすごい顔をしてマサ子を抱いてお勝手へ来て、マサ子を板の間におろして、それから、殺気立った眼つきで私をにらみ、しばらく棒立ちになっていらして、一ことも何もおっしゃらず、やがてくるりと私に背を向けてお部屋のほうへ行き、ピシャリ、と私の骨のずいまで響くような、実にするどい強い音を立てて、お部屋の襖(ふすま)をしめましたので、私は男のおそろしさに震え上りました...
太宰治 「おさん」
...みちの芝が人に踏まれても朝露によみがえるとかいう意味の、前にも幾度か聞かされた都々逸であるが、その時だけは、いつものような閉口迷惑を感ぜず、素直に耳傾けて拝聴したのだから奇妙なものだ...
太宰治 「パンドラの匣」
...お前のように綺麗な人を見たのはその時だけだ...
小泉八雲 田部隆次訳 「雪女」
...その時だけはほんまにほっとして助かったような気イしましてん...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...その時だけは顔色が美しい桜色をして目の光もなんとなく生き生きしているようであった...
寺田寅彦 「B教授の死」
...呂将軍の眼もその時だけは生々とした色を浮べました...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...刑事は、いつも、きつい目をしてにらみ据える人間だつたが、その時だけは、だまつて、窓に向つて歩いて行つて、じつと空をしばらく見上げてゐた...
中井正一 「雪」
...その時だけがこの男の人生の火花なのだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...為されたその時だけホンの瞬間熱病的に嬉しいかも知れなくても...
中原中也 「撫でられた象」
...その時だけは自分で自分の空想を叱るようにしては...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...教場で折々しくじるとその時だけはやな心持ちだが三十分ばかり立つと奇麗(きれい)に消えてしまう...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...その時だけ意識が分明(はっきり)して...
長谷川時雨 「木魚の配偶」
...その時だけは帰るが...
三好十郎 「疵だらけのお秋(四幕)」
...後にも先にもその時だけなのである...
山之口貘 「野宿」
...眼さきの変るのはその時だけのことだし...
山本周五郎 「日本婦道記」
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