...ちょうど雨粒を糸につらねた恰好でこれもあながち雨粒の話と縁がないとは云われない...
石原純 「雨粒」
...あながち比喩(ひゆ)ではない...
太宰治 「春の盗賊」
...急に明るくなったといってもあながち過言ではないようだ...
太宰治 「パンドラの匣」
...これがあながち橘先生ならば住所なんぞなくたってわかるだろうという心臓のせいばかりではなく...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...そしてそれはあながちに...
田山録弥 「黒猫」
...これを解かんと努めるのもあながちむだな事ではあるまい...
寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
...あながち狡猾(ずる)いとばかりも言えなかった...
徳田秋声 「縮図」
...この晩方、ひとり、島原を追い立てられたこの怪しの客に、何か見るところがあればこそ、お宿もとまでお送りを名として、近づいて来たことに相違ないとすると、そうなってみると、前の長身の客が、ははあ、送り狼と冷笑したのも、あながち、からかいの言い分ではない、転べば食うのである...
中里介山 「大菩薩峠」
...代助はあながち父(ちゝ)を馬鹿にする了見ではなかつた...
夏目漱石 「それから」
...僕はあながち勝者を妬(ねた)んで皮肉(ひにく)を吐(は)く考えもなければ...
新渡戸稲造 「自警録」
...こういう詮議だてはあながち女の意地わるさから出発しているのでないことが了解されるだろうとおもう...
宮本百合子 「新しい潮」
...兄はあながちに深くも咎(とがめ)ず「お登和や...
村井弦斎 「食道楽」
...あながち尊卑を其間に置かざりしにはあらざるべし...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...私は自分の考えのあながち独断でなかったことに喜びを感じたことがあった...
横光利一 「作家の生活」
...あながち荒木の部下が変装して来たというようなするどさは見えない...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかし私が、小説のなかに、沢庵を拉(らっ)して来たのは、あながちまた、拠(よ)り所(どころ)のないわけでもなく、武蔵の生地と、沢庵の生地但馬の出石(いずし)とは、山ひとえの背中合せだし、出石から山陽方面へ往来する旅には、常に武蔵の生地宮本村のある竹山城下が、その街道の一宿場にあたるし、そこにはまた、小さいながら禅刹(ぜんさつ)もあり、武蔵と沢庵との年齢は、沢庵が十歳ほどの年上だし、また、細川家、その藩老長岡佐渡、いろいろな間接的関係から推定して、武蔵と沢庵とのあいだを、知己としてもそう不合理ではあるまい――と推測して行ったのであるが、要するに推測は飽くまで推測で、史料として一片の証(あかし)ともならないのである...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...あながち奇をてらった言葉とばかりいえないかも知れぬ...
米川正夫 「クロイツェル・ソナタ」
...あながちなる事はなきも...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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